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コラム

リフォームかリノベーションか?築50年木造住宅で迷った時の選択ポイント

2025.06.16
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趣のある佇まいと、新築にはない魅力を持つ築50年の木造住宅。

近年、その価値が再評価され、自分らしい暮らしを求める人々から注目を集めています。手頃な価格で購入できるだけでなく、間取りや内装を自由にデザインできるリノベーションの柔軟性も、その人気を後押ししています。

古き良き素材や雰囲気を活かしつつ、現代のライフスタイルに合った空間へと再生させる。そんな住まいづくりに挑戦する人が増えています。

この記事では、築50年の住宅に興味を持つ方や、すでに所有されている方に向けて、「なぜ今、中古木造住宅が選ばれているのか」を解説しながら、理想の住まいを叶えるためのステップと、知っておきたいポイントを分かりやすくご紹介します。


なぜ今、築50年の木造住宅が注目されているのか?

かつては「古い家=価値が低い」と見なされてきた築古の木造住宅。
しかし近年、多くの人が築年数を重ねた住宅に新たな価値を見出すようになっています。その理由を見てみましょう。


1.手の届く価格で、理想の広さと立地が手に入る

新築物件の価格が高騰する中、築50年前後の中古物件は比較的手頃な価格で購入でき、広さや立地の選択肢も広がります。
コストを抑えつつ、理想の住まいに近づける点が大きな魅力です。

2.自由度の高いリノベーションができる

築年数の経った住宅は、間取りの変更や空間の再設計がしやすく、自分のライフスタイルに合わせた家づくりが可能です。
和の趣を活かしつつ最新設備を導入するなど、「古さを味わいに変える」発想で、唯一無二の住まいを実現できます。

注意するべき点

築年数が長い住宅では、「どこまで直せばよいのか」「どんな工事が必要なのか」など、判断に迷うことも少なくありません。
そのため、まずは「リフォーム」と「リノベーション」の違いを正しく理解することが、後悔のない住まいづくりの第一歩となります。


リフォームとリノベーションの違い

住宅を改修しようと考えたとき、「リフォームで十分か、 それともリノベーションが必要か?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
どちらも住まいをより快適にするための工事ですが、目的や工事の規模・内容にははっきりとした違いがあります。

特に築年数が経過した住宅では、この違いを理解したうえで、建物の状態や自分たちの暮らしに合った選択をすることが大切です。


リフォームとは?

老朽化した部分の修繕や、原状回復を目的とした部分的な工事です。
たとえば、古くなった壁紙の貼り替えや、水回り設備の交換、床の張り替えなどが該当します。

主な特徴
・見た目や使い勝手の改善が中心
・現状の間取りや構造は基本的に変更しない
・比較的低コストかつ短期間で済むことが多い
・「不具合のある部分を直したい」方におすすめ

リノベーションとは?

住まい全体を再設計し、性能や住み心地を根本から向上させる大規模な工事です。
耐震性能や断熱性能を強化しつつ、間取りやデザインを一新し、現代のライフスタイルに合わせた住空間を創出する方法です。

主な特徴
・間取り変更・構造補強・設備の刷新などを含む大規模な工事
・在宅ワーク・バリアフリーなど、今の生活に必要な機能を反映できる
・中長期的な資産価値の向上も期待できる
・「家の性能や住み心地を高めたい」という人に向いている

築50年ともなれば、構造や設備が現代の基準に合っていないケースが多く、単なるリフォームでは対応しきれないことも。
そうした場合は、自由度の高いリノベーションによって、現代の暮らしに合った安全で快適な住まいへと再生することが可能です。

こんな方にはリノベーションがおすすめ

・長く安心して暮らせる家を手に入れたい
・自分好みに空間をつくり変えたい
・将来的に資産価値のある住宅にしたい

より詳しい違いを知りたい方はこちらもご覧ください:
『リノベーションとリフォームの違いとは?あなたに合う選択はどっち?』


築50年住宅の『購入・改修前』チェックポイント

築年数の古い住宅を選ぶ際は、建物の状態をしっかり確認することが重要です。外観がきれいでも、見えない部分に劣化や不具合が潜んでいる可能性があります。そのため、購入やリノベーションを検討する前に、必ず確認しておくべきポイントがあります。


基本の建物チェック

・基礎にひび割れや崩れがないか

建物の土台である基礎のひび割れや崩れは、地盤の変動や地震の影響を受け、建物の傾きや構造問題につながる可能性があります。幅の広い、または深いひび、欠けがないか確認しましょう。

・柱や梁が傾いていないか

建物を支える柱や梁の傾きは耐震性に影響します。目視で明らかに傾いている場合や、壁やドアの歪みがある場合は注意が必要です。

・床が沈む・傾く感覚があるか

床の沈みや傾きは、床下の構造材の腐食や不同沈下が原因と考えられます。放置すると床の強度不足や構造的な問題につながる可能性があります。

・シロアリ被害や腐食の痕跡がないか

シロアリ被害や木材の腐食は建物の強度を低下させます。柱や土台、床下などに蟻道や空洞化した木材、腐食がないか確認が重要です。

※築50年程度の住宅は、無筋コンクリートの基礎が使われている場合も多く、耐震性が不十分なケースも少なくありません。補強の必要性も含め、プロの診断を受けると安心です。

後悔しないためにチェックしておきたいポイント

上記で挙げた基礎に関わる確認に加えて、購入後に「失敗した…」とならないためには、さらに細かなチェックも欠かせません。ここでは、実際の購入者が「確認してよかった」と実感している重要ポイントを紹介します。

〇屋根・外壁

・屋根材が劣化していないか(瓦のズレ、トタンの錆など)
・外壁のひび割れ、塗装の剥がれがないか
・雨漏りや湿気の影響が室内に現れていないか

〇水まわり・配管

・給排水管の材質が古い(鉄管・鉛管など)場合、交換が必要
・床下の配管ルートや状態をチェック
・浴室・キッチンまわりの腐食やカビの発生状況

〇電気・断熱

・分電盤や配線が現代の安全基準に適合しているか
・断熱材の有無と性能(古い断熱材は効果が低い場合も)
・窓やサッシがシングルガラスで、冬場に結露しやすくなっていないか

これらの点を丁寧に確認することで、築年数の古い物件でも安心して暮らせる住まいを選ぶことができます。焦らず慎重に状態を見極め、必要に応じて専門家の意見も取り入れながら、理想の暮らしを実現していきましょう。

自分だけの判断は難しい!診断はプロに任せるのが正解

結論から言うと、専門家による診断は「必須」です。
特に以下のようなチェックを事前に受けておくことで、購入後やリノベーション時のトラブルを大きく防ぐことができます。

〇インスペクション(住宅診断)

建物の現状や劣化状態を、専門家が客観的に診断してくれるサービス。
費用相場は5~10万円程度ですが、後々の出費やトラブルを未然に防げる点では非常に有効です。

〇耐震診断

1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた住宅が多いため、耐震性のチェックは必須です。
地域によっては診断や改修に補助金が活用できる場合もあります。

〇床下・屋根裏の点検

普段見えない部分にこそ、見逃せない劣化や被害が潜んでいることも。専門機器やドローンでの調査が有効です。

築50年というだけで、一律に「住めない」「危ない」と判断する必要はありません。
今の状態を正しく知り、「どこを直せば安全に、快適に暮らせるのか」を見極めることが大切です。

多くの築古住宅は、適切なメンテナンスと手入れをすることで、“新築以上の価値”を持つ住まいに生まれ変わります。


リノベーションを前提に考えるべき3つの軸

築50年の木造住宅のリノベーションは、単に古い家をきれいにするだけでは、その可能性を十分に活かせません。
せっかく手をかけるなら、「資産価値を高める」「安心して長く住める」「暮らしやすさを向上させる」住まいへと進化させたいですよね。

そこで重要になる、リノベーション計画を立てるうえで意識すべき「3つの軸」をご紹介します。


①安心・安全のための「耐久性」

築50年を経た木造住宅は、現行の建築基準を満たす構造強度を備えていない場合が多くあります。見た目がきれいでも、地震や台風などの自然災害に耐えられないリスクがあるのです。

〇この軸で考えるべきポイント

・耐震補強(1981年の新耐震基準を満たしているか)
・基礎の補強や金物の追加
・屋根の軽量化(例:瓦 → 金属屋根)
・シロアリ対策、床下の防湿・断熱処理

耐震補強や構造の改善は目に見えない部分に費用がかかりますが、ここをおろそかにすると、命と資産の両方を守れない家になってしまいます。

長く安心して住むには、まず“住まいの骨組み”から見直すことが最優先です。

②快適な暮らしのための「居住性」

いくら安心な構造が整っていても、「寒い」「暗い」「動線が悪い」といった不便が残れば、暮らしの満足度は低下します。
築古住宅特有の「昔ながらの間取り」や「断熱性能の低さ」は、現代のライフスタイルに合わないことが少なくありません。

〇この軸で考えるべきポイント

・間取りの見直し(廊下や和室中心 → 開放的なLDKなど)
・キッチン・浴室・トイレなど水回りの刷新
・断熱材の追加、複層ガラス・高断熱サッシの導入
・日当たりや風通しの改善(壁や窓の位置変更)

大切なのは、「自分たちのライフスタイルに合った設計にする」視点です。
家族構成や生活スタイルに応じて、“必要な空間”と“快適な空間”を重ねることで、住まいの質が大きく向上します。

ただの修繕ではなく、「暮らし方のアップデート」を目指すのがリノベーションの魅力です。

③将来性と価値のための「資産性」

築古住宅でも、きちんと手を入れて管理・改修していけば、将来的な売却や賃貸にも対応できる“資産”になります。

特に今は、リノベーションされた物件への需要は高まっており、築年数に関わらず、その価値が市場で認められる傾向にあります。

〇この軸で考えるべきポイント

・長期的に維持しやすい素材・工法を選ぶ(メンテナンス性)
・エネルギー効率の高い住宅(省エネ性能の強化)
・補助金や減税制度の活用(耐震・断熱・省エネ改修など)
・将来的な売却や賃貸でも選ばれやすい立地や間取りの確保

さらに、国の施策や自治体の支援をうまく使えば、数十万~百万円単位の補助が受けられることもあります。
これらを視野に入れることで、「コストを抑えながら価値を高める」リノベーションが実現します。

大切なのは、住まいを「消費物」ではなく「将来も通用する資産」として捉えることです。

3つの軸を重ねると、未来の選択肢が広がる

この3つの軸は、それぞれ独立しているようで、相互に支え合う関係にあります。

耐久性を高めることで、資産としての信頼性が向上する
居住性が良ければ、暮らしの満足度が高まる
資産性を意識すれば、将来を見据えた家づくりができる

これらをバランスよく意識することで、「古い家」から「価値ある家」へと再生させることが可能です。


どっちを選ぶ?リフォーム vs リノベーション 比較ガイド

築50年の木造住宅を前にして、多くの方が最初に悩むのが「リフォームで足りるのか、それともリノベーションが必要なのか」という選択です。

結論としては、「建物の状態」と「 自分たちの目的」によって選ぶべき方向が変わります。
ここでは、それぞれの特徴と判断ポイントを整理します。


リフォームが向いているケース

部分的な修繕で対応できる場合、リフォームは費用も期間も抑えられる現実的な選択肢です。

こんな人・こんな家におすすめ

・建物の構造に大きな問題がなく、基礎や柱が健全
・間取りはそのままでよく、内装の古さを整えたい
・水まわりや内装の古さが気になる
・できるだけ低コストで済ませたい
・賃貸や将来売却前の最低限の改修として考えている

リフォームで対応できる主な内容

・ 壁紙の張り替え、フローリングの交換
・ キッチン・浴室・トイレなどの設備更新
・外壁塗装、屋根の部分補修
・階段や段差への手すり設置(バリアフリー対応)

ポイント:「現状を整える」ことが目的なら、リフォームで十分!

リノベーションが向いているケース

「住まいを暮らしやすく、自分たちらしく、性能も含めて再設計したい」という場合、リノベーションが前提になります。

こんな人・こんな家におすすめ

・耐震性や断熱性に不安がある築古住宅
・間取りや生活動線が暮らしに合っていない
・見た目だけでなく、性能面でも改善したい
・今後も長く安心して住みたい
・資産価値も意識して家づくりをしたい

リノベーションで可能になること

・耐震補強・断熱強化・配管や配線の刷新
・間取り変更(例:和室中心 → 開放的なLDK)
・デザイン性のある内装・素材の選定
・スマートホーム化やEV充電対応などの先端機能導入

ポイント:「性能・価値・暮らしやすさ」を総合的に上げるなら、リノベーションが最適!

判断しやすくなる!選び分けチェックリスト

次の質問に「YES」が多ければ、リノベーション向き。
「NO」が多ければ、まずはリフォームからでも良いでしょう。

チェック項目

・今の間取りや動線に不満がある
・耐震性や断熱性に不安がある(1981年以前の建物など)
・将来的にも長く住みたい、または資産として活用したい
・自分のライフスタイルに合う設計にしたい
・省エネやスマート機能など、今の家にはない設備が欲しい

迷ったら「どこまで直すか」から考える

築古物件において、最も失敗しやすいのは「中途半端な手直し」です。
見た目だけを整えても、数年後に配管トラブルや構造劣化が発覚し、結果的に二重の改修コストが発生することも少なくありません。

まずは建物の状態をしっかりと診断し、「どこまで直す必要があるのか」を見極めることが、後悔しない選択への第一歩です。


どこまでやる?費用と価値のバランスを見極める

築50年の木造住宅をリノベーションする際、最も悩ましいのが「どの範囲まで改修すべきか」の判断です。
必要な部分にはしっかり費用をかけつつ、無駄を省いて“ちょうどいいリノベーション”を実現するには、「費用」と「価値」のバランスを見極める視点が欠かせません。


リノベ費用の内訳と目安

リノベーション費用は、工事の範囲やグレードによって大きく異なります。
以下は主な工事項目と、それぞれが全体の中で占める割合の目安です。予算配分を考える際の参考にしてください。

・構造補強(全体の15〜25%)

地震対策としての耐震補強や、老朽化した基礎部分の補修、重い瓦屋根を軽量な金属屋根 に変更する工事などが含まれます。

・設備更新(全体の30〜40%)

給排水管や電気配線の交換、キッチン・浴室・トイレなどの水まわり設備の更新が中心で す。特に築年数の古い住宅ほど、この部分に多くの費用がかかる傾向があります。

・断熱・気密改修(全体の10〜15%)

断熱材の追加やサッシの交換などにより、室内の快適性と省エネ性能を向上させる工事で す。冷暖房効率にも関わる重要な部分です。

・内装・仕上げ(全体の20〜30%)

フローリングの張り替え、壁紙の貼り替え、ドアや建具の交換、照明器具の設置など、仕上げのデザインや住み心地に関わる部分を整えます。

・設計・監理費(全体の5〜10%)

建築士や設計事務所によるプランニング費用や、工事中の現場監理にかかる費用です。工 事の品質を保つために必要な経費といえます。

優先順位をつけて、費用配分をコントロール

すべてを完璧にやろうとすると、予算は簡単に膨らんでしまいます。
だからこそ、「自分たちの暮らしにとって何が本当に必要か?」という軸で優先順位を明確にしましょう。

・優先度「高」:構造補強・耐震対策

命を守る基本。後回しにはできません。将来的な資産価値にも直結します。

・優先度「中」:設備の更新・断熱性の向上

快適な生活と光熱費削減に貢献します。中長期的なメリットが大きい項目です。

・優先度「低」:内装の仕上げやデザイン性

見た目の満足度に直結しますが、素材やデザインの工夫次第で費用を調整可能です。

補助金の活用で「実質コスト」を下げる

リノベーションは高額になりがちですが、補助金を活用すれば、数十〜百万円単位でコストダウンも可能です。

▼2025年現在で使える主な補助金(例):
・耐震改修補助:最大150万円
・省エネ改修補助:最大100万円
・バリアフリー改修補助:最大75万円
・自治体による上乗せ補助(例:東京都内で+20%)

※補助金は申請条件や募集時期が限定されているため、計画初期の段階で確認しておくことが重要です。

長期的視点を持つ「ライフサイクルコスト」の考え方

リノベーションでは、初期費用だけでなく「10年後・20年後にいくら維持費がかかるか」という視点も重要です。これを「ライフサイクルコスト(LCC)」と呼びます。

たとえば
・外壁と屋根を同時改修 → 15年後の累積メンテ費を22%削減
・ステンレス給水管の導入 → 耐用年数40年で交換不要
・断熱・太陽光設備導入 → 光熱費を年間5〜10万円削減

長期視点で見ると、「最初にかけたコストが将来の節約につながる」ケースは少なくありません。

リノベーションの費用は、“出せる金額”だけで決めるものではありません。
「自分たちは何に価値を感じるか」「これからどんな暮らしをしたいか」という視点が何よりも大切です。



まとめ

築50年の木造住宅。
「古い」「不安」「手間がかかる」といった印象を持たれがちですが、見方を変えれば“自由にカスタマイズできる素材”としての可能性が詰まっています。

たしかに、構造や設備に不安があったり、どこまで手を加えるべきか判断に迷うこともあるでしょう。でも、今回ご紹介したような下記の4ステップを押さえれば、古くても安心して、快適に、自分らしく暮らせる家を手に入れることは十分可能です。

・建物の状態をしっかり診断する
・暮らし方に合った改修を選ぶ
・優先順位をつけて費用を配分する
・信頼できる業者とチームを組む

なにより、築古住宅には新築にはない“余白”と“味わい”があります。
それは、あなただけの暮らしにぴったり寄り添う「世界にひとつだけの住まい」へと生まれ変わる、かけがえのない魅力です。

リバータスでは、リフォームやリノベーションに関わるさまざまな工程を一括で請け負い、低コストで高品質なサービスを提供します。お客様のニーズやこだわりに応じて、物件の新たな価値を創出し、住まいをより快適で安心できる空間へと生まれ変わらせます。
理想の住まいを実現するため、ぜひお気軽にご相談ください。


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